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<目次>
全体の研究紹介
有機材料とはどのようなものか
高分子材料
高分子錯体
電気・光機能性高分子材料
有機太陽電池の材料設計
π共役高分子錯体に関する研究
・電気・光機能性を有する有機ナノ材料に関する研究



<電気・光機能性を有する有機ナノ材料に関する研究>
 有機太陽電池の材料設計で示したように、たとえ優れた有機材料を合成しても、それだけでは電子素子の特性が向上ません。すなわち、有機太陽電池、有機ELは複数の有機材料を使用します。そして、それぞれの素子は、複数の材料を最も機能を発揮するように配置しなければなりません。とはいえ、私たちはピンセットで分子をつかんで基板の上に置いていくわけにはいかず、ただ製膜するよりほかはありません。有機材料の製膜法は大きく分けて、ドライプロセスとウェットプロセスが挙げられます。これらはそれぞれ様々なメリット、デメリットを抱えていますが、色々なところで論じられているので、ここではあえて触れずに、複数の材料の配置という点に焦点を絞ります。
 ドライプロセスとしては真空蒸着法が挙げられ、これは、有機材料を高真空化で加熱することにより昇華させて、基板上に堆積させる方法です。この方法では、二種類の材料を順に製膜すれば、積層型の素子を作ることができます。また、同時に製膜すれば、たいていは分子レベルで混合した素子を作ることができます。



 一方、ウェットプロセスは有機材料を溶媒に溶解させ、塗って乾燥させる方法です。この方法で二種類の材料を順に製膜する場合、二層目を塗る際に使用する溶媒が下地の第一層を溶解させてしまうため、うまく製膜ができません。ですので、溶媒の組み合わせや、それに合った材料を探索する必要があります。そのため、通常は単層で素子が機能するようにする必要があります。一つの有機材料にすべての機能を詰め込んだものを多段階の合成ルートにより、合成することもあるのですが、通常は複数の材料を混合させた一つの溶液を塗って製膜したものを用います。しかし、この方法では、様々な性質をもち材料が混ざっているので、相分離が起きてしまいます。有機電子素子はこの相分離のサイズによって特性が大きく異なってしまうので、制御する必要があるのですが、相分離は、用いる溶媒、材料によって異なるので、これを制御することはできず、新しい材料を合成した場合は、最適な製膜条件を探さなければいけません。



 そこで、当研究室では塗布系にこだわり、有機電子素子のナノ構造を制御するために、インキの状態で有機材料のナノ構造を作り込むことを目指して研究を行っています。この研究は、新世代塗布型電子デバイス技術研究組合に加盟して、材料メーカーから装置メーカーまで一体となって、有機電子素子の新しい概念を生み出すために研究・開発を行っています。


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