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<目次>
全体の研究紹介
有機材料とはどのようなものか
・高分子材料
高分子錯体
電気・光機能性高分子材料
有機太陽電池の材料設計
π共役高分子錯体に関する研究
電気・光機能性を有する有機ナノ材料に関する研究



<高分子材料>
 私たちの生活は、さまざまな有機材料によって支えられています。当研究室では、その中でも特に塗布法により製膜することができる有機材料、主に高分子材料に関する研究を行っています。高分子は単量体とよばれる分子が多数つながったヒモ状の化合物であり、身の回りの高分子は繊維、樹脂、プラスチック、ゴムなどとして存在しています。高分子は様々な長さ(分子量)が混ざった混合物であり、通常の小さな分子には見られない特徴を有しています。砂糖や塩のような小分子の溶液をガラスの上に塗って乾かしても、均一で平坦な膜は得られず、粉っぽくなり、やがて簡単にはがれ落ちてしまいます。一方、高分子を溶かした溶液を塗って乾かすと、均一で平坦な膜が簡単に得られます。この特徴を利用すると、高分子を小分子である色素(顔料)などと一緒に溶かすことにより、ペンキ、塗料のようなコーティング用途としても使用することができます。



 最近では、この高分子そのものに機能を持たせることによりこれまで全く考えられたこともなかった応用展開がなされています。電気を流す高分子(この業績により白川英樹博士がノーベル化学賞を2000年に受賞)を塗ることで、発光素子(有機EL素子)や太陽電池などの電子素子を作ることが可能になってきました。このようにさまざまな電子素子を塗って作れるようになれば、―例えば印刷法によって作れるようになれば―、これまでの固い板状の電子素子ではなく、柔軟な電子素子ができると期待されています。このように「塗って製膜できる」という高分子の特性は、私たちの暮らしを劇的に変える可能性があります。



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